行政院(内閣)は23日、「行政院麻薬等薬物問題防止会議第25回会合」を開催した。頼清徳行政院長(首相)によれば、「安居楽業(安心して暮らせ、働けること)」は2018年度における行政院の三大施政方針の1つで、この「安心して暮らせること」のうち麻薬(違法薬物)、危険ドラッグの一掃と組織犯罪の取り締まりは最も重要な部分。また、これらの問題は国内での治安維持の取り組みのうち、国民が最も関心を持つ点でもあることから、頼行政院長は、麻薬などの薬物問題防止を政府の施政重点に据えていると説明した。
行政院が「麻薬等薬物問題への新たな時代の対抗戦略行動綱領」を実施して1年となったことから、会議ではその成果を確認、不十分だった点を反省すると共に今後の方針が検討された。頼行政院長は、検察署、内政部警政署(日本の警察庁に相当)、法務部(日本の法務省に相当)調査局、国防部(日本の防衛省に相当)憲兵指揮部、海洋委員会海巡署(日本の海上保安庁に相当)及び財政部関務署(税関)の6大摘発機関、及び法務部、衛生福利部(日本の厚労省に類似)、教育部(日本の文科省に類似)など関係省庁が共に努力してきたことを評価、麻薬等薬物に関する事件に対する捜査が顕著にパワーアップされ、「麻薬等薬物問題への新たな時代の対抗戦略行動綱領」も初期段階としての成果が上がっていると称えた。
アンフェタミン(覚醒剤)、大麻、新興の向精神薬の広がり、及び表には出ていない薬物の数の問題などについて、頼行政院長は法務部に対し、内政部(日本の省レベルに相当)、衛生福利部、教育部などの関係省庁と合同でプロジェクトチームを組織して対策を検討するよう指示。新興の麻薬と乱用薬物の検出を素早く行える試薬の開発を強化すると共に、衛生福利部には広範囲な検査実施計画を立案するよう求めた。
また、「青少年が薬物に手を出しやすい環境調査」の部分について頼行政院長は、麻薬の取り締まりでは麻薬の売人、運び屋、製造元へと遡って捜査を進め、組織犯罪を摘発する一方で末端への関心も強め、コミュニティが薬物による危害にさらされないようにする必要があると強調。このため青少年が薬物に手を出しやすい環境を探し出し、具体的な対策を立てることで、取り締まり加速に役立てるよう求めた。
「麻薬等薬物問題防止基金の準備作業」に関連して頼行政院長は、同基金は「毒品危害防制条例(麻薬等薬物による危害防止条例)」の規定に基づいて設けられる基金である他、蔡英文総統が昨年の双十国慶節の談話の中で宣言したものでもあると指摘、さらには国が社会の様々な力を結集して麻薬問題に対抗していく重要な資源になると強調した。同基金は来年1月1日に設立される。